デザイナーやクリエイター系職のひとにはあるあるなシチュエーションだと思います。
友人からの「○○タダでやってよ!」。
みんなが通る道であり私も例外なく経験しました。
良かれと思い安請け合いすると、消耗するだけでよい結果を迎えることはなくこれまた決まりきった結末を迎えることになるのですが、あるきっかけで大切な教訓を得たので記しておきます。
自分が生業としている仕事の価値を考える
当時私の職はwebデザイン/グラフィックデザイン。組織に属し見積もりや経理ごとは営業さんが調整していましたので自身の制作の価値についてはそこまで深く考えていませんでした。
友人からの依頼には、スキマ時間で対応できるし、いくら請求すれば妥当かもよくわからないから良かれと思って「いいよー」と返事を返してしまいました。
なんとなくモヤモヤしましたが、これ実は私と友人は同じ認識をしているのだと気づいたのです。

あいた時間にちょちょいとやってくれたらいいからタダで・・・
プロに頼んだらいくらかかるかわからないし高かったらいやだな。

スキマ時間にできるていどなら大したことないや。
金額請求して高いって言われたらいやだな・・・。
当時の私は制作を時給でしか考えられなかったのですね。そこに違和感は抱くことはあっても明確に説明ができませんでした。
価値をきちんと説明できないその責任は自分にある
もちろん作業の程度もあるし、そのくらいならと受けてしまうこともまったく間違いではないと思いますが、これがお客様とのやり取りだったらと考えた時、とんでもないことをしていることに気が付きます。
スキマ時間だからOKという考え方は自分も時間労働の概念で考えている証拠でした。
そもそもそんないい加減な依頼は受けたくなし、時給でやるような仕事ではないですけど!!
じゃあ自分が扱う商品はどんな価値があるのだろうと考えるわけです。妥当な金額っていくらなのか。
どのくらい時間がかかるからいくら、では見積金額はいつまでたっても最安値からは抜け出せないのです。
では、制作は時間労働ではなく何か
クリエイティブな制作はスキルや知識・経験をもって課題を解決する手段です。そこには必ずなにかしらの効果が生まれ。ポジティブな影響をもたらすわけです。
制作における費用はその対価です。効果が大きければ金額も伴っていくべきです。
もちろん当時の友人にこれを説明すればよかったなどという話ではありませんが、問題は自分がこれを理解できていなかったということです。
制作者がその価値を説明できない成果物にはだれもお金を払いたくないわけです。
タダでしてあげる無責任な仕事
こんなこともありました。
親しい友人の事業のサイトの制作を、良かれと思い無料で受けて納品しました。もちろん喜んでもらえたのですが、その後更新や修正についての相談をされることが一切ありませんでした。
公開してから結構な時間がたっていて、きっと更新したいことや修正する必要があるはずなのですが結局向こうから連絡が来ることはありませんでした。別の人が修正している形跡もなく、変化のないサイトがいつまでも・・・。
ここで私が犯したミスはほかでもないタダで仕事を受けたことです。
もちろん利益の話ではなく。
おそらくですが、タダでサイトを作ったことで、2回目以降の修正依頼をしづらくしてしまっていたのだと思います。

タダでやってもらったから、いろいろ言ったら申し訳ない。
更新したいけど言い出しづらいな・・・。
もしかしたら、初めの出来にも細かなところで満足いっていなかったかもしれません。
適切に費用をもらっていれば友人も言いたいことを言えたはずです。
さらに、タダだから・・・の負の効果
webサイトについては、製作はもちろんですが公開してからの運用や更新にも手をかける必要があります。サイトの制作時に運用をどうしていくかも考慮し環境を整えていかないといけないことは、初めてサイトをつくるお客様にはまったくわからないことです。
タダで納品したサイトは特にこの部分のサポートをしていませんでした。

タダで作るから細かい作業は省いてしまおう。
友人だから何かあれば相談してくれるだろう。
このような甘えはもちろん褒められたものではありませんが、タダだからという事情によりある程度はお互い承知の上だろうと考えていました。
甘ちゃんです。
ただただ反省です。
プロとして責任をもって仕事をするなら、お金を取ることもプロとしての責任である
これらの経験を通して学んだのは、プロとして仕事をすることはお金を取って責任もとるということで、タダでやる「責任のある仕事」はありえないわけです。
自身の扱う商品価値をきちんと説明でき、相応の対価を受け取ってこそ、お客様も対等に話ができるわけです。それを理解するまで時間がかかりました。
お客様からも、その金額を払う価値があるというある種の信用を示していただいているということは、お金を介した信頼関係がそこにはあるのです。
今ではフリーランスとして仕事をする私にとって、大切な失敗経験となりました。
胸を張って見積もりの金額と商品価値を説明できる
そんな仕事を心がけて今日も制作しています。

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