粘土をこねて整形するのはデザイナーの仕事。ロゴデザイン制作の失敗に学ぶ

雑記
ろくろを回すイメージ画像

普段クライアントワークにてサイトやロゴのデザイン制作を承っております。
ある日、ロゴデザイン制作の案件で製作途中にクライアント様からキャンセルを申し出られたことがありました。一件だけであればまぁたまにはそんなことも、、、と思っていましたが、その後同じシチュエーションで2件目のキャンセルを受けたことにより自身の進行に何か問題があるのではないかと振り返りました。
そこである気づきがありましたので記事にしておきます。

ライター:MOT
ライター:MOT

案出しをうけてのキャンセルはなかなか精神的にくるものがありました。

しかし大事なのは理由を分析して二度と繰り返さないこと!

ロゴ制作の進め方

普段のデザインワークではクライアント様の意向をヒアリングすることからはじまります。

作りたいもののイメージや方向性が明確に、またはなんとなくでも方向性が見えてくる打ち合わせができると、次の工程「デザイン案」の制作に進んでいきます。

「こんなロゴが欲しい」がまったくない制作依頼もある

しかし、なかには作りたいもののイメージが全くないわからないというクライアント様が、ごくたまにいらっしゃいます。

この場合、詳しく分けると以下の理由が考えられます。

「わからない」とは
  • (今の時点では)作りたいもののイメージがない/明確になっていない
  • わずかになにか思うものがあるのだけれどうまく伝えられない
  • 何にも考えていない

いずれの理由の場合でもヒアリングを重ね、制作のポイントや好みのデザインについてイメージのやり取りを慎重に重ねわずかな手掛かりを探しながら、デザイン案へ落とし込んでいくことになります。

作りたいロゴがわからないなら一緒にすこしづつ考えていけばいいと思った

このケースにおいて、過去にお仕事の実績がありそれなりの信頼関係のあるクライアント様である場合
に限り、わたしはとあるやり方を提案していました。

それはある程度ヒアリングをしたところで、ベースになる案をいくつか作成し、その見え方を評価しながら少しづつ希望の方向性に持っていく(ブラッシュアップしていく)方法です。

文字にあると割と当たり前の工程ですが、実際はもっと初期段階の話で簡単に言えば「線が太いとこう見えて、細いとこう見えます。イメージにより近いのはどっちですか」みたいなことです。

これは、作りたいもののイメージをつかめないクライアント様にとって、指標になるベース案を提示し、実際に目に見える形であれば「いい/わるい」「すき/嫌い」「あう/あわない」を判断できるだろうと考えたからです。それなりに信頼関係のあるクライアント様でのみこの方法で行うのは、すこしでも微妙なニュアンスや印象について親密にコミュニケーションができないと成立しないと思っていたからです。

結論から言いますと、この方法がキャンセルの原因でした。

ライター:MOT
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クライアント様と一緒に少しづつデザインを作っていけば、ほしいものが具現化できるのではないだろうか

あまりに現実的ではなかったその方法

この方法の肝はベース案から枝葉を想像し、最終的に希望するイメージを探りながら近づけていくというところですが、実際にこの調子でオリジナリティのあるデザインにたどり着くのは程遠いか不可能です。実際に私もある程度方向性が見えたタイミングで一気にデザインを作成し提案するつもりでいました。

しかしそもそもこのやり方にはクライアントの理解が大前提でした。

まずはじめに提案されるデザインはデザイン案ではなく、あくまでもベースであり、ここからの肉付けを行っていくことが大前提、よって見た目は質素でシンプル、驚きもないものになります。これを魅せられたクライアントはこの制作過程を完全に理解していないと「あれ、ショボくない?」となります。

また、目の前にあるデザインから次の形を想像する行為は、デザイナーでこそ日常行ってはいますがそうでない人にとってはなかなか容易に進められることではなく、クライアントにこれを強いることはまず間違いでした。目で見たものは判断できてもその先を想像したり話し合うことは思った以上に難易度が高かったようです。

そんなわけで、私の想像以上にクライアントには打ち合わせのストレスと不安を与えてしまっていたようで、結果キャンセルというご判断になったものと思われます。

デザイナーはどんな状況でも完成形のみをみせるべき。

これらの経験を経て反省し、強く感じたのは
デザインを作るのはデザイナーの仕事 ということ。

粘土をこねてろくろを回してカタチを作るのはすべてデザイナーの仕事で、クライアントは希望を伝えることまでです。希望のないクライアント様が粘土をこねたとしてもロゴはできないし、方向性が見えることもないのです。

私は、クライアントが希望するデザインを探ることに注力しすぎてデザイナーの本来の仕事を放棄していました。もちろんヒアリングやクライアントの希望を探ることは重要な要件ですが、それ以上に
デザインで新鮮な世界観をクライアント様に提示し、ビックリやわくわくさせる内容でなければなりません。

それは、わたしが行っていた方法では到底なしえないこととわかりました。

今では、クライアントの希望イメージがどんな不確定なデザイン提案でも、しっかりと方向性を提示できる提案をすることを心がけています。

中途半端なデザイン案では響くことはないですし、そこにはきっと驚きもありません。

もちろん、的外れになることもありますが、デザイナーとして信用があればそこからのリテイクや修正も可能ななずです。

さいごに

デザイン業で、「作りたいイメージがわからないクライアント様」との制作経験がある方へ
このようなやり方があるよ。こうするとうまくいったよ。というものがあればコメント欄にお願いします。

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